NIPPON VEDANTA KYOKAI
Vedanta Society of Japan
不滅の言葉 1965年1号

「ヒンズー思想研究の手引き」その八(部分)
バクティヨーガ
スワミ・ニルヴェーダナンダ

 有名なヒンズーの聖者であり、ヒンディ語ラーマーヤナの著者として有名なトゥルシダースは、若い頃妻を溺愛していた。たとえ一日でも妻と別れて過ごすことはできなかった。ある時彼女は実家を訪問しなければならないことになった。然しそれはトゥルシにとってたえられる事ではなく、家にいてひとり待つのは不可能であることがわかった。そこで妻が出かけたその日の中に彼はその後を追い、岳父の家で彼女に会った。その時トゥルシの妻は言った。「何というあなたの愛着の激しさ! もしそれを神にお向けになるならば、忽ち神をみることができましょうに」と。その言葉は魔術のようにトゥルシの心を動かした。彼はそれ以来一転して熱烈に神を愛慕するようになり、時到って神を実現、他の人々の成道をも助けた。
 そのような変容の例はヒンズー族の伝説の中に無数にある。ビルワマンガルは一娼婦への狂わしい愛情を神に転じて浄福を得ている。
 さてこれらの例はバクティ・ヨーガ即ち信愛の道への一つのいとぐちを示している。バクティ・ヨーガは極めて単純な真理、即ち人はただ神を愛するだけで神になることができる、という真理によっている。それ以外の何ものも--抽象的思考も、心身の機械的な訓練も必要としない。またどのような不自然な要求もしない。
 我々の大部分は本来感情的であり、そして多くの衝動の中でもとりわけ愛によって動かされている。我々は我々自身を愛し、近親や縁者を愛し、家庭や家を愛している。我々は自分達の部族、国家、種族を愛している。我々は富を愛し、権力を愛し、所有物を愛している。我々は性愛に支配されている。これらのすべてに対する我々の愛が、我々の活動の大部分を決定し、我々の行為を具体化する。更に愛が我々に喜びを与え、人生を興味深いものとする。それは全世界に一種の魅力を与える。それなしには人生はたえ難いものになるであろう。.......................

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