NIPPON VEDANTA KYOKAI
Vedanta Society of Japan
不滅の言葉 1965年1号

永遠の伴侶(部分)
スワミ・ブラマーナンダの生涯(11)
スワミ・プラバーヴァナンダ
--彼の見神の経験--

 マハラージは或る時私にこう言った。「時々誰を教えることもできなくなる時がある。どちらを向いても、様々のマスクをつけた神ばかりを見るのである。教師という私は誰だ? 誰が教えられるのだ? 然し心が再び低いレヴェルに降りて来ると、私は人の中に無知を見て、それを取り除こうと努めるのである。」
 マハーラジはその後半生の大部分を高い霊的意識状態の中で送った。彼はただ我々を教え、そして助けるために降りて来るだけであった。彼の神の自覚は平常のことになっていたので、周囲に外界を意識しながらでも彼は神秘的なヴィジョンを経験していた。彼はこれらのヴィジョンについて殆んど語ったことがなかった。語る場合の相手は自分の兄弟僧または兄弟弟子に限られていた。私はこの章にその幾つかを述べよう。
 それは一九〇一年のドゥルガの祭日の数日前であった。ドゥルガは、宇宙の保護者として現われている神すなわち「母」である。マハラージはベルル・マートのガンジスにのぞむ堤防の上に坐っていた。突然、彼は「母」ドゥルガが僧院の庭に向かってガンジスの水面を歩いて来るのを見た。彼女は庭の聖樹の下をすぎると姿を消した。一瞬おくれてスワミジーが小舟で着き、マハラージの許に来て言った。「ラージャ、すぐに『母』ドゥルガのお祀りの手筈をして下さい。」そして彼は自分がこの僧院に祀られる「母」ドゥルガのまぼろしをみたことをマハラージに話した。マハラージは代って自分のみたまぼろしのことをスワミジーに話し、二人は直ちに祭祀の準備を始めた。その日以来、「母」ドゥルガを祀る特別の儀式が毎年ベルルの僧院で行なわれている。マハラージはカンカール、ベナレス及びマドラスの僧院でもこの礼拝を行なった。彼はある時アキラーナンダに、自分はこの礼拝を「母」の直接の命
令に従って行なうのである、と言った。アキラーナンダは、ドゥルガの祭りの期間中マハラージの力(霊の)は彼の弟子達に特に感ぜられ、彼らの心は霊性のより高い境地にひき上げられた、と記している。.....................

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