不滅の言葉 1964年12号

 「ヒンズー思想研究の手引き」その七 部分

ジュナーナ・ヨーガ
スワミ・ニルヴェーダナンダ

 潜水夫は海底に潜って真珠を探し出す。ヒンズーのリシ達は飛び切りの潜水夫であった。海に潜る代りに彼等は自分自身の内部に深く入り、全世界の富より遙かに貴重なすばらしい宝を発見した。沈潜に成功した後浮び上ったリシの一人は言明した「聞け、おお汝ら、不滅なる者の子達よ、この世界に、またはもっと輝かしいもろもろの世界に住む子らよ、私は『偉大なる一者』を知った。彼を知れば人は死すなわち無知を超越することができる」と。自己の内部に沈潜することによって、そのリシは実に宇宙の根底に達し、我々をして死を超越せしめ得る偉大な宝を発見したのである。
 そのリシは自分自身を知りたいと欲した。彼は自分の心を感覚的な世界から離して内部にひき入れ、これを真の「自我」の精力的な探究をするために使った。これによって彼はある境地に達した。そこでは心は完全に静められて沈黙に入り、「自我」が全栄光に包まれて現前したのである、リシは自分が本来何者であるか、を見た。彼は彼の「自我」(アートマン)が神すなわち宇宙に内在する最高霊ブラフマン以外の何ものでもないことを発見した。かくして神との一体性を実現した彼は、解脱(ムクティ)の目的を達し、歓喜に溢れて「ユーレカ!」と叫んだ。
 何んという奇蹟! 人は彼自身を知った時に神となる。そうだ、彼は神以外の何ものでもない。本質的には彼は常に神である。ただ彼はこの事実を自分で発見しなければならないのだ。そしてこのことがとりもなおさず解脱(ムクティ)を得るために彼がなさねばならぬことのすべてである。
 人を直接この発見に導く霊的修業(サーダナー)がジュナーナ・ヨーガとして知られているものである。「ジュナーナ」は知識を意味する。「ジュナーナ・ヨーガ」は「自我」の認識への精神集中を意味する。................

   

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